春のめぐる
不安はいつも待っている
あたりまえの顔で
薄紅色のセロファンで
つつんだような頬をして
校舎を廻った廃園
傾いだ石畳の行きあたり
君はつめたい指で水仙の葉を撫で
音楽室から降るピアノの音に包まれて
窓は 曇り空の午前十時を映したまま
白く並んで黙る
あなたの在り処を忘れたのですか
池の底のようなところから
顔をあらわす此の気持ち
深く垂れこめたまなざしに気づかれた……
東から吹く風は
睫毛にふれて
指さす君の白い腕に
しみるような 春の bowing
草原 遙 2004.3.17.