皐月の魔女 
(ごがつのまじょ)



霧の中で桜が花びらを落としつづける明け方
二階の窓に たりない心を吊り下げた

フレトイの海岸から
丘を越えて響く海鳴りに
それはふらふらと揺れてうら白くふくらむ

何処を漂って あなたはいるのか
白い磁器の淵に映った心の影の中で
遊ぶようにすべる気持ちで
花弁を受けては紙片と化え
書きつけられた詩篇が
吹きつけられる

海からのつめたい匂いの風にのり
僕の  心があった跡に
洞を穿ってやむことのない
君の 憂鬱の香りと
切り羽の言葉

           草原 遙 2004.5.