ポロムイ海岸まで


春は喩えばどういうふうに……
訊ねかけた君の言葉のゆくえを
海からの風が吹き散らす

君の頭を手でつつみ
見わたす裸木の林には
煌めく光の粒子となってすさぶ雪

降りそそぐ陽射しにさそわれて
季節がやって来るという
此処まで来たぼくらは
艇庫の板壁に身を寄せて
ポロムイの浜辺が広がるのを眺めてる

つよく柔らかい陽射しは
降りしきる雪片に跳ねて
さらに輝く光で景色をふちどり
残像のグリーンが萌え野のように
辺り一面を染めている

喩えば一条( ひとすじ )の旋律が
ここに在ればと
云いかけたぼくに
こごえた手でしがみついて遠くの雲を見つめていた

君は壁際の吹き溜りに
三月 と 名を書く
薄紅に色付いた 
指先をのばし



             草原 遙  2004.3.19.