夜降 ( よぐたち ) 2


夢の中で記憶の底から湧き上がって来る気泡の様な
靄めいた月光にたなびく空気を吸って
詰まるような君の声に
耳傾け乍ら
樹々の間を廻って歩く

隔てた時間がよりをほどいて
揺れ戻すように 思いが流れ出すのを
とめられない

夏至へ向かう 蒼白い空の中に
月はいて
逍遙する二つの影を 重ねたり 離したり
誰かが何処かで吹いている横笛の音が
途切れとぎれにそれを縁取る

いま此の時は 旋律の終いに向けて
傾(なだ)れていくだけなのか

遠ざかる泣声を聞く

夜の 降りるなか



           草原 遙 2005.4.