anamnesis



天窓に切り取られた曇り空からの 鈍色の光
仄暗い会堂の床の上で
時計の文字盤が白く浮きでる

針の無い歪んだ盤面を
どんよりと明るく
翳らせて暗く
時の変わりをあらわすだけの
日々記

かつてあった扉の
その跡は
鎖されて久しく
外では 人たちが往き過ぎる

此の頃間遠になった貴女の歌う声も
まだ 時折り聴こえるから
床にうずくまり
耳をそばだてて僕は
針の折れた時計のぜんまいを巻き続けよう

廃れた会堂で
時計を守って
僕の心は 何処へいくのですか
毎日 果てしなく続く曇り空の
明かりの中



               2005.3.23.  草原 遙